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クラシック音楽の著作権に関して

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例えば、自分で動画を作成して、そこでBGMを流したりする場合、クラシックの曲を使用されることもあるかと思います。
「クラシック曲」=「著作権がない」=「自由に使って問題ない」と考えている方もおられるかと思いますが、それは必ずしも当てはまりません。今回はクラシック曲の著作権について解説させていただきます。

クラシックにも著作権はある

クラシック曲を自由に使って問題ないと考える最大の理由は、著作権が存在しないと思っているからだと考えられますが、クラシックにも著作権はしっかりと存在しています。
音楽の著作権は、著作者が楽曲を作ったときに発生し、著作者の死後70年(いわゆる保護期間)を経過するまで存続すると法律で定められています。(著作権の保護期間は2018年12月30日に保護期間がそれまでの50年から70年になりました。
2018年時点で保護期間が過ぎたものについては著作権は復活しません。また、保護期間とは別に戦時加算という、第二次世界大戦時に相当する期間が加算されます。日本の場合、約10年5ヶ月になります。)
よって、クラシック曲を使用して問題ないかどうかは、その曲が保護期間を過ぎているかどうかによります。ベートーベンやバッハといった古い年代の作曲家が作曲した曲は当然著作権が切れているため問題ないのですが、クラシックと一言で言っても年代は様々です。 曲によっては保護期間が過ぎていないものもございますため、注意が必要です。

著作権が切れていない有名な楽曲

著作権が切れていると思われているクラシック曲の中でも、比較的有名な作品を紹介させていただきます。

  • 『剣の舞』1942年発表
    作曲:アラム・ハチャトゥリアン 1978年没
    ロシア(当時は旧ソビエト連邦)の作曲家ハチャトゥリアンの代表作で、運動会などでよく使われる作品ですが、ハチャトゥリアンが1978年没のため、著作権はまだ切れておりません。
  • 『ラッパ吹きの休日』1954年発表
    作曲:ルロイ・アンダーソン 1975年没
    日本では『トランペット吹きの休日』というタイトルの方が有名かと存じますが、こちらも運動会などでよく使われる作品です。アンダーソンが1975年没のため、著作権はまだ切れておりません
  • 『タイプライター』1950年発表
    作曲:ルロイ・アンダーソン 1975年没
    『ラッパ吹きの休日』と比べると若干知名度は落ちますが、タイプライターの使用音が楽器として使われているユーモラスな曲で、こちらもテレビのBGMなどでよく使われます。本作も上記の理由で、著作権は切れておりません。
  • 『市民のためのファンファーレ(庶民のためのファンファーレ)』1942年発表
    作曲:アーロン・コープランド 1990年没
    20世紀のアメリカを代表する作曲家といわれるコープランドの代表作の一つです。曲名の通り、式典などでよく使用される曲です。また、曲調が明快なためか、ロック音楽のアーティストもよくカバーしており、特にイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーが1977年に『ELP四部作』に収録したものが有名です。コープランドは1990年没とクラシックの作曲家の中では比較的最近まで存命だったため、著作権が切れるのにはまだ年月を要します。

著作権が切れていても著作隣接権があります

このように、作曲者の死後70年以上経過した楽曲であれば、BGMとしてお店等で流すことができまが、気をつけなければならないのが、BGMとして流す”だけ”なら可能、ということです。
クラシック音楽のCDであっても、その曲を演奏した人がいて、その演奏を録音してCD原盤を作成した人がいます。
その原盤を作成した人が持っているのが、著作隣接権の一つである「レコード製作者の権利」の中の複製権(著作権法第96条)や公衆送信権(同96条の2)などです。
レコード製作者が複製権を持っているということは、そのレコードの複製が無許諾ではできないという事になります。
つまり、店内で流れているクラシック曲のBGMを含めた録音・録画をすることが原則としてできません。
著作権がOKであっても、著作隣接権でNGな利用行為もありますので、利用する際はよく注意し、不明な点は専門家に相談するのもいいのかもしれません
参考:「著作隣接権とは?」公益社団法人著作権情報センター
   「https://www.riaj.or.jp/f/leg/copyright/」一般社団法人日本レコード協会

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