同人CDの作り方|用意するべきものと製造から販売までの流れ
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CD制作
「同人CDを作りたいものの作り方がわからない」「必要なものがあれば教えてほしい」などと考えていませんか。詳細がわからず、悩んでいる方もいるでしょう。同人CDの作り方は、大きく2つに分かれます。両者の強みは異なるため、目的に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、同人CDの作り方、同人CDの制作に必要なものを紹介するとともに、製造から販売までの流れを解説しています。以下の情報を参考にすれば、どのように作り、どのように販売すればよいかがわかるはずです。同人CDの制作を検討している方は参考にしてください。
そもそも同人CDとは?
同人CDは、レコード会社などに所属していないクリエイターが自費で制作したCDです。同人CDの「同人」は、同じ趣味をもっている人や同じ目的をもっている人を意味します。また、また、ビジネスを目的としない創作活動や創作物を指すこともあります。
同人CDの主な魅力は以下の通りです。
【同人CDの魅力】
- 誰でも自由に楽曲を発表することができる
- 第三者から介入を受けない(作りたいものを作れる)
同人CDは、主に同人イベントで取り扱われています。ちなみに「同人=二次創作」と思われがちですが、必ずしも二次創作を意味するわけではありません。
同人CDの作り方
同人CDは以下の方法で作れます。
【作り方】
それぞれについて解説いたします。
プレス業者に依頼する
市販されているCDと同等のクオリティに仕上げたい場合はプレス業者へ依頼します。商業用のCDと同じ方法で制作できるためです。制作にあたっては、以下のものが必要です。
【用意するもの】
- マスターディスク
- レーベル面、ジャケット、帯などのデザインデータ
マスターディスクをもとに、型を作ってCDを制作します。したがって、一定のイニシャルコストがかかります。プレス業者は量産に向いているCDの作り方です。一般的な最小ロットは100枚程度と言えるでしょう。制作枚数が増えると、1枚あたりの単価は原則として安くなります。
生産方法の違い
プレス印刷は、国内と海外で行われています。それぞれのメリット、デメリットは以下の通りです。
生産方法 |
メリット |
デメリット |
国内生産 |
納期が短い |
コストが高い |
海外生産 |
コストが安い |
納期が長い |
日本製(Made in Japan)と表示できる点も国内生産の魅力としてあげられます。両者の特徴を踏まえて、生産方法を選択することが重要です。
手焼きで作成する
ご自宅のパソコンなどを使って、楽曲をCD-Rに焼く方法です。この方法であれば、好きなペースで同人CDを制作できます。例えば、イベント直前まで作業を続けることも可能です。ただし、原則として1枚ずつ作成しなければならないため、手間と時間がかかります。基本的には、少量生産に向いている方法です。
コストを抑えやすい点も魅力としてあげられます。ディスクドライブを搭載したパソコン、プリンターがお手元にあれば、CD-R、CDケースなどを購入するだけで同人CDを作れます。ただし、稀に書き込みエラーが発生する点には注意が必要です。また、パッケージを含め、市販されているCDと同等のクォリティを求めることはできません。
業者に同人CDの作成を依頼する際に必要なもの
プレス業者に同人CDの制作を依頼する場合、マスターディスクとデザインデータが必要です。これらについて解説します。
マスターディスク
プレス加工したい楽曲を納めたCDです。このCDから型を作って、プレス加工を行います。したがって、音飛びなどのトラブルには十分な注意が必要です。気づかずにプレス業者へ送付すると、完成した同人CDにもトラブルが反映されてしまいます。
マスターディスクは、マスタリングソフトを使って制作することが一般的です。プレス業者が定めるルールに従い制作しなければなりません。エラーに備えて「正・副」2枚の送付を求められることもあります。
印刷物用のデザインデータ
プレス業者を利用すると、レーベル、ジャケット、帯などに指定したデザインを印刷できます。したがって、これらのデザインデータも必要です。デザインデータは、原則として専用のソフトで制作します。当然ながら、専門的な知識、スキルが必要です。
ご自身で対応できない場合は、スキルシェアサービスで専門家(絵師など)に依頼するのも一つの方法です。デザインデータについても、原則としてさまざまなルールが設けられています。プレス業者の公式サイトを確認したうえで制作することが重要です。
ご自身で同人CDを作る際に準備するものは?
続いて、ご自身で同人CDを制作する際に必要なものを紹介します。
アイテム①CD-R
1回に限りデータを書き込めるCDです。書き込んだデータを、修正したり削除したりすることはできません。CD-Rには、音楽用とデータ用があります。音楽用CD-Rの価格には、著作権者へ支払う補償金(私的録音補償金)が含まれています。したがって、データ用よりやや割高です。また、音楽を高音質で保存できるものもあります。これらの点を考慮して、適切な選択を行うことが大切です。
出典:JASRAC®「私的録音録画補償金制度について」
アイテム②CDケース
CDケースの主な種類と概要は次の通りです。
種類 |
概要 |
ジュエルケース |
厚さ10mmのケース |
マキシケース |
厚さ7mmのケース。レーベル面を見せられる |
スリムケース |
厚さ5mmのケース |
不織布 |
不織布を用いた安価なケース |
|
CDケースの種類により特徴は異なります。例えば、ジュエルケースは厚みがあるため、スペースに余裕が生まれます。厚みのあるブックレットなどを入れられるでしょう。一方で、価格は他のCDケースより割高です。それぞれの特徴を考慮して選ぶことが求められます。
アイテム③OPP袋
CDケースを梱包する袋です。スリム用、標準用、2枚組用などがあります。原則として、CDケースの大きさに合わせて選びます。作業をするうえで問題になりやすいのが静電気です。剥がしたフィルムが手にまとわりついて、作業を効率よく進められないことがあります。素材の特性上、静電気が発生しやすいため注意が必要です。この点が気になる場合は、静電気防止加工を施したOPP袋を選ぶとよいでしょう。フィルムが手にまとわりつかないため快適に作業を行うことができます。
アイテム④ジャケット用紙
完成したCDの見栄えに大きな影響を与えるのがジャケットです。ジャケットの有無で、売れ行きや販売価格が変動することも想定されます。ジャケットの制作方法は大きく以下の2つに分かれます。
【制作方法】
自宅で印刷する場合は、ジャケット用紙が必要です。表面に光沢があるスーパーファイン紙などを使用できますが、ジャケットサイズに合わせて裁断しなければなりません。手間をかけたくない方は、市販されているCDジャケット用の用紙を利用するとよいでしょう。用紙設定や裁断の手間を省くことができます。
アイテム⑤パソコン
CD-Rへの書き込みやジャケットの印刷などで使用します。これらの目的を果たせれば、スペックなどに細かな指定はありません。しかし、音楽データを書き込むため、ディスクドライブは必須です。お手元のパソコンにディスクドライブがない場合は、後付けのディスクドライブを購入するとよいでしょう。音楽データをCD-Rへ書き込めればよいため、Blue-rayに対応しているなど、高機能なものは不要です。予算と目的を踏まえて、適切なものを選択することが大切です。
アイテム⑥プリンター
ジャケットなどを印刷するために必要です。基本的には、家庭用のプリンターを使用できます。ただし、CDの盤面(レーベル)へ印刷したい場合は、レーベル印刷に対応しているプリンターが必要です。市販されている家庭用プリンターの中にも、レーベル印刷に対応しているものがあります。新たにプリンターを購入する場合やプリンターを買い替える場合は、レーベル印刷の必要性を検討することが大切です。
アイテム⑦楽曲・印刷データ
当然ながら、楽曲データ、印刷データも必要です。楽曲データは、原則としてマスタリングを行います。マスタリングは、音質や音量を調整して楽曲の品質を高める作業と言えるでしょう。通常、マスタリングソフトを使用して行います。ちなみに、マスターディスクは不要です。印刷データは、用途に合わせて制作します。専用のソフトを使用すると、印刷データを手軽に作成できます。
同人CDの製造から販売までの流れ
ここからは、同人CDを作ってから販売するまでの流れを紹介します。
ステップ①企画を考える
最初に、同人CDの企画を考えます。全体の方向性を明らかにしないと、適している楽曲、デザインなどを決定できないためです。自分が表現したいことに加えて、ターゲット層や販売する場所などを検討することが大切です。併せて、販売までのスケジュールを決定しておきましょう。外注を利用する場合は納期、イベントへ出店する場合は申込期限や搬入受付期間などの確認が必要です。
ステップ②デザインと楽曲を作る
ステップ①で決定した企画を踏まえて、同人CDに収録する楽曲と同人CDのデザインを制作します。ストックしている楽曲がある場合は、企画に適したものを利用しても構いません。ポイントは、収録する楽曲の音質や音量を揃えることです。ひと手間くわえることで聴きやすくなります。同人CDのデザインで悩む場合は、専門家(絵師さんなど)に依頼するとよいでしょう。
ステップ③CDを製造する
完成したデータをもとに同人CDを作ります。基本の作り方は以下の2つです。
【作り方】
ある程度の枚数を作りたい方や手間をかけたくない方にはプレス業者がおすすめです。同人CDの製造と合わせて、集客活動も行っておきましょう。認知度が低いと、良い楽曲を作っても売れないためです。具体的な集客活動として、SNSや特設サイトの活用があげられます。例えば、SNSで楽曲の一部を公開して、特設サイトへ誘導し、同人CDの詳細(販売時期、販売場所、収録曲など)を伝えるなどが想定されます。
ステップ④製造したCDを販売する
次に、完成した同人CDを販売します。主な販売方法は以下の通りです。
【販売方法】
- イベントに出店する
- 同人作品を扱う店舗に委託する
- 公式サイトを開設して販売する
イベントに出店する場合は申し込みが必要です。また、出店料もかかります。同人作品を扱う店舗に販売を委託することもできます。同人CDが売れると、販売手数料を差し引いた売上金が支払われます。公式サイトを開設して、同人CDを販売することができます。手数料はかかりませんが、梱包・出荷などの手間がかかります。また、集客活動も必要です。
同人CDの作り方を理解しておきましょう
ここでは、同人CDの作り方を解説しました。主な作り方は「プレス業者へ依頼する」「ご自宅などで制作する」の2つです。前者のメリットはクォリティが高いこと、後者のメリットはコストを抑えやすいことと言えるでしょう。
プレス業者を利用すれば、市販のCDと同品質の同人CDを作れます。他のクリエイターと差別化を図りたい方は、プレス業者を選択してみてはいかがでしょうか。小ロットから対応しているプレス業者も存在します。
ディスクファクトリーでは、CDプレスを低価格でご提供しています。納期や予算に合わせて国内プレスだけでなく海外プレスも選択できますので、ぜひご利用ください。